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 下の文章は、企業のあり方についての本を出版しゅっぱんした人が、その本の内容を紹介したものである。  

最近、企業の不祥事ふしょうじ(注1)が相次いでいますが、問題を起こす企業には共通点があると思います。それは「社員を大切にしていない」ということです。 「社員を大切にする」とは、給料が高いとか、福利厚生(注2)を充実させるということではなく、仕事を通じて成長できるとか、仲間と協力して物事を成しげる達成感が感じられる といったことです。問題のある企業はこれらをないがしろ(注3)にし、利益りえきだけしか見ていないのです。 ただ、ここ数年、社員を大切にしながらも業績(注4)を上げて いる企業が増えています。「社員を大切にするなどと甘いことを言っていたら、経営は成り立たない」と言われる中で、なぜ①それが可能なのか。 その条件を探ることが、本書の執筆しっぴつ理由です。
 そこでーつ明らかになったのは、通常とは異なるリーダーの姿です。多くの場合、非常に優れたリーダーがいて、社員はただ従っていれば業績が良くなるということが想定されますが、社員を大切に しながら業績を上げる企業のリーダーはそうではなく、社員を主役にするのです。私はこれをスポンサーシップと名付けましたが、そこでは社員がどんどん力をつけ、育っていきます。

(柴田昌治「りーダーシップからスポンサーシップへ」『フォーブス』2007年9月号による)
(注1)不祥事ふしょうじ:社会に迷惑めいわくをかけるような失敗や間違い
(注2)福利厚生:企業が従業員やその家族のためになるように作った制度や施設
(注3)ないがしろ:軽く考えること
(注4)業績:仕事の成果や実績