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 公立の図書館では、利用者へのサービス向上のために、人気の高い本を複数冊置くことが増えている。本が複数冊あれば、同時に多くの利用者に貸し出せて、予約待ちの期 間も短くできる。
 このような図書館の姿勢に対して、予算は限られているのだから買える本の種類が少なくなってしまうのではないかと心配する声もある。しかし、借りたい本がなかなか借 りられない図書館では利用者は満足しないだろう。公立の図書館は、多くの人々に読書のきっかけを与え、本を読む楽しさや喜びを感じてもらうようにする役割を持っている。 図書館に同じ本を複数冊置くことは、その役割を果たすための一つの方法だといえる。

 最近公立の図書館では人気の高い本を複数購入こうにゅうしているそうだ。有名な作家の小説などが対象らしい。流行の本を早く読みたいという利用者の希望に応えようとする図書館 の気持ちは理解できる。しかし、どうしても早く読みたければ自分で買えばいいのだから、図書館がそのために多くの予算を使う必要はない。
 税金で運営されている公立図書館の存在意義は、学問的に価値のある本や手に入りにくい本など、さまざまな種類の本を一冊でも多くそろえていることだ。書店にない本で も図書館に行けば読めるというのが本来の姿だろう。同じ本を多く買うことによってその役割が果たせなくなったら、利用者に対するサービスの低下につながるといえる。