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Aさん(78 歳,女性)は介護老人福祉施設で生活している。脳血管障害(cerebrovascular disorder)による左片麻痺で,杖を使って歩行し,自力で移動していた。Aさんは,廊下や食堂でいつも職員や他の利用者に声をかけ,誰にでも気遣う人だった。ある日,食堂のいすに足が触れて転倒して,捻挫の痛みで歩くことができなくなり,車いすでの移動になった。捻挫は1週間ほどで完治したが,Aさんは歩くことを拒み,現在でも車いすでの移動を続けている。Aさんは徐々に口数も少なくなり,「歩くことが不安だ。周りに迷惑をかけてしまう」と言い,何に対しても消極的な様子がみられた。
Aさんに対する介護福祉職の関わりとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
  1. Aさんは口数が少ない様子なので,できるだけ話しかけないように心がける。
  2. Aさんの自立を考えて,再び歩くことができるように何度も声をかける。
  3. 仲の良い利用者に,頑張って歩くように励ましてもらう。
  4. Aさんの担当の介護福祉職に,再び歩くように説得してもらう。
  5. 食堂のテーブルやいすの配置を見直して,一緒に歩いてみようと働きかける。

【 正答:5 】

解説

  1. × Aさんの不安を放置することとなり、不適切である。
  2. × Aさんの不安を解消するための提案を行わず、「歩くことができるように」との声かけは、根拠のない励ましとなり、Aさんに歩行を無理強いする恐れがある。同時に、事故の再発を放置することになる。
  3. × 2.の解説と同等である。
  4. × 2.の解説と同等である。
  5. 〇 転倒の原因を解消し、事故の再発を防止したうえで、Aさんに選択肢のような対応をすることは、根拠ある励ましであり、不安や遠慮を抱えているAさんに、介護福祉職が一緒に歩くことを申し出ることは、真の励みとなる。