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〔事 例〕
Jさん(80 歳,男性,要介護2)は,2年前に脳梗塞(cerebral infarction)を起こして,左片麻痺になった。Jさんは,自宅で妻(80 歳)と過ごしたいと訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,二人で暮らしていた。
Jさんは,数か月前に肺炎(pneumonia)を起こして入院した。炎症症状は消失したが,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌した状態で退院した。
退院後のJさんは,なんとか立位がとれる状態である。排泄は,ポータブルトイレを利用して,妻が介助している。尿意はあり,1日の尿の回数も正常である。しかし,日が経つにつれて,妻には日に何回も行う立ち上がりや,ズボンや下着の上げ下ろしの介助は負担になり,時間がかかってJさんが失禁してしまうことも増えてきた。
妻は,JさんがMRSAの保菌者であることを気にしていた。
妻が日常生活で留意する点として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
  1. Jさんの食器は別にして洗浄する。
  2. 手洗いと手指の消毒を行う。
  3. 介助するときは,使い捨ての予防着を着用する。
  4. Jさんの衣類は別にして洗濯する。
  5. ポータブルトイレは,10%の次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒する。

【 正答:2 】

解説

MRSA自体は通常存在する菌であり、健康な人が保菌しても直ちに発症することはない。というMRSAに対する正しい知識と共に、医療専門職ではない妻が日常生活でできることは何かを考えることがポイントである。
  1. × 食器を別にして洗浄する必要はない。
  2. 〇 手洗いと手指の消毒は、妻が日常生活の中でもできることであり、適切である。
  3. × 予防着を着用する必要はない。
  4. × 衣類を別にして洗濯する必要はない。
  5. × 次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する場合は0.1%程度でよいとされており、また他の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生する場合もある。妻が日常生活の中で行うこととしては適切ではない。なお、MRSAは消毒液に対する抵抗性が弱いので、ポータブルトイレはアルコールによる清拭消毒でも有効である。