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〔事 例〕
Jさん(80 歳,男性,要介護2)は,2年前に脳梗塞(cerebral infarction)を起こして,左片麻痺になった。Jさんは,自宅で妻(80 歳)と過ごしたいと訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,二人で暮らしていた。
Jさんは,数か月前に肺炎(pneumonia)を起こして入院した。炎症症状は消失したが,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌した状態で退院した。
退院後のJさんは,なんとか立位がとれる状態である。排泄は,ポータブルトイレを利用して,妻が介助している。尿意はあり,1日の尿の回数も正常である。しかし,日が経つにつれて,妻には日に何回も行う立ち上がりや,ズボンや下着の上げ下ろしの介助は負担になり,時間がかかってJさんが失禁してしまうことも増えてきた。
Jさんに該当する排尿障害として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
  1. 溢流性尿失禁
  2. 腹圧性尿失禁
  3. 反射性尿失禁
  4. 切迫性尿失禁
  5. 機能性尿失禁

【 正答:5 】

解説

  1. × 溢流性尿失禁は、排出障害が基礎疾患としてあり、尿閉状態となって尿が漏れる。Jさんにそのような基礎疾患はない。
  2. × 腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみをしたり、重いものを持ち上げたりしたときに起こる。Jさんにそのような症状はない。
  3. × 反射性尿失禁は、尿意を感じないのに尿が漏れたり、膀胱に刺激が加わったりすると反射的に尿が漏れてしまう。Jさんには尿意があり、刺激で漏れてしまうわけではないため、適切ではない。
  4. × 切迫性尿失禁は、急に尿がしたくなり我慢できずに漏れてしまう。Jさんにそのような症状はみられず、時間がかかったときに失禁してしまうとあるので適切ではない。
  5. 〇 Jさんに排尿機能の障害はみられず、身体機能の低下に伴って失禁が生じるようになっている。