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〔事 例〕
Kさん(88 歳,男性)は,妻(82 歳)と二人暮らしであった。5年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。1年ほど前から,会話がかみ合わなくなった。離れて暮らす一人息子のこともわからなくなり,「会社に行く」と外出して行方不明になることがあった。そのため,自宅での介護が困難で,半年前に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居した。入居時は表情が険しく精神的に不安定で徘徊がたびたびみられた。しかし,事業所内で取り組んでいた回想法に参加すると,徘徊はみられなくなってきた。
ある日の午後,「痛い,痛い」と繰り返しながら足を叩いて,床に座り込む様子が見られた。
病院を受診した日の夜中にKさんが,「仕事に行かないと怒られる」と興奮した口調で部屋から出てきた。介護福祉職がKさんの不安な思いを受け止めると,入眠した。しかし,30 分後に再び,「会社に行く」と興奮する様子が見られた。
興奮しているKさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
  1. 会社は休みだと言う。
  2. 早く寝るようにと言う。
  3. 怒られることはないと言う。
  4. 仕事をしていた時の話をする。
  5. 息子の話をする。

【 正答:4 】

解説

  1. × Kさんの言動に対して、否定的な発言をすることは適切ではない。
  2. × Kさんの話を聞こうともせず、無理やり止めさせようとすると、さらに興奮してしまうため適切ではない。
  3. × Kさんの不安な気持ちを受け止める対応が大切であり、まずはKさんの話を受容する。
  4. 〇 仕事をしていた時の話をすることで、Kさんの気持ちが落ち着くように対応することは適切である。
  5. × Kさんの言動に関係のない話題に変えるのではなく、Kさんの気持ちが落ち着くような方向に話題を変えていくことが大切である。