〔事 例〕Lさん(25 歳,男性,障害支援区分5)は,大学2年生の時,交通事故が原因で頸髄損傷(cervical cord injury)となった。現在は毎日,居宅介護を利用しながら,母親と生活している。
Lさんは四肢麻痺のため自分で体を動かすことができずに,多くの時間をベッドで過ごしている。リクライニング式車いすに移乗するときは,移乗リフトを使用している。Lさんは,母親の腰痛が悪化していることを知っているので,母親に介助を頼むことを遠慮している。そのため,介護福祉職が来たときに,リクライニング式車いすに乗せてもらっている。Lさんは車いすで座位になると,たびたび起立性低血圧で気分が悪くなる。
日中はマウススティックを使用して,パソコンで友人とメールのやり取りを楽しんでいる。最近はパソコン教室に週1回は通いたいと考えて,「長時間の外出時の移動の介護をお願いしたいがどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
Lさんがリクライニング式車いすで起立性低血圧を起こしたときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
- 背もたれを倒す。
- 頭部を冷やす。
- 体温を測る。
- 衣服を調節する。
- ベッドへ移乗する。
【 正答:1 】
解説
- 〇 起立性低血圧は、寝た状態や座位から急に立ち上がったときに血圧が下がり、ふらつきやめまい、易疲労感(疲れやすい)、動悸、視野のかすみ、眼前暗黒感、時には失神などを伴う。対応方法は、正常な血圧に戻すためにリクライニング式車いすの背もたれを倒すことである。
- × 起立性低血圧の原因は血圧であるため、頭部を冷やす必要はない。
- × 起立性低血圧は、体温の上昇とは関係ないので、体温を測る必要はない。
- × 起立性低血圧は、血圧の低下が原因のため、衣類を調節する必要はない。
- × まずは背もたれを倒す。その後、ベッドへの移乗を行ってもよい。