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Lさん(84歳、男性、要介護4)は、自宅で妻と暮らしている。数日前から妻が体調を崩しているため、短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。利用初日に、介護福祉職が身体の確認をするために着替えを行ったところ、Lさんの腋窩と腹部に赤い丘疹が見られ、一部に小水疱を伴っていた。強いかゆみを訴えており、手指間には灰白色の線が見られる。
Lさんに考えられる皮膚疾患について、集団生活を送る上で最も注意すべき優先度の高いものを1つ選びなさい。
  1. 皮脂欠乏性湿疹(asteatotic eczema)
  2. 疥癬 (scabies)
  3. 白癬(tinea)
  4. 蕁麻疹(urticaria)
  5. 帯状疱疹(herpes zoster)

【 正答:2 】

解説

  1. × 皮脂欠乏性湿疹は、皮膚表面を覆う皮脂が加齢により極端に減ることで皮膚がひび割れ、表皮が剥がれて、かゆみを伴うが、感染性の疾患ではない。
  2. 〇 疥癬はヒゼンダニというダニの一種が皮膚に寄生して発症する感染性の皮膚疾患である。好発部位は、皮膚と皮膚が触れ合うところ、主に腋窩、指間部、陰部であり、そこから顔面を除く全身に広がっていく。粟粒大の紅色丘疹が発生し、その中心に小水疱や小膿疱ができ、やがて結節(皮膚が盛り上がってできたふし)となる。手関節や指間には疥癬トンネルといわれる灰白色の線が見られる。かゆみが強く、特に夜間、就寝時に増強する。
  3. × 白癖は、真菌(かび)のー種である白癬菌が角質層下に寄生して発症する、感染性の皮膚疾患であり、全身に発症する。体部白癬の症状は、かゆみもあり、まれに小丘疹や小水疱が見られるが、発疹の特徴は輪状の紅斑である。
  4. × 蕁麻疹は、発症初期からかゆみを伴う疾患であり、皮膚のー部に膨疹(皮膚が平たく盛り上がる発疹)が出現し数時間から24時間以内に消失するが繰り返し出現することも多い。
  5. × 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスにより発症する。発疹は発赤の強い小水疱で、 胸腹部の神経走行に沿って帯を巻いたように発症する。しかし、知覚神経節領域に発症するため、症状はかゆみではなく、疼痛である。