次の事例を読んで答えなさい。〔事 例〕
Cさん(87歳、女性)は、「財布がなくなった、誰かに盗られた」と訴えるようになった。 夫が盗られていないことを説明しても受け入れなかった。心配した夫に連れられて受診すると、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer's type)と診断された。その後、認知症(dementia) の進行に伴って夫の介護負担が増えたので、通所介護(デイサー ビス)を利用することになった。
ある日、介護福祉職が入浴介助をしている時、Cさんの体に複数のあざを見つけたため、 介護支援専門員(ケアマネジャー)に報告した。介護支援専門員(ケアマネジャー)から連絡を受けた地域包括支援センターの職員がCさんと夫に確認したところ、夫による暴力が原因であることがわかった。夫の介護負担が軽くなるように、短期入所生活介護(ショー トステイ)の利用を勧めたが、夫は拒否した。その後も、虐待は改善されなかった。そこで、市町村のやむを得ない事由による措置により施設に入所することになった。
入所後まもなく、夜間に施設内を歩き回るCさんの様子が見られた。介護福祉職が声をかけると、「トイレの場所がわからない」と話した。日中はトイレで排泄を行い、下着を汚すことはなかった。
通所介護(デイサービス)を利用する前のCさんにみられた認知症(dementia) の症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 幻覚
- 抑うつ
- 見当識障害
- 失認
- 妄想
【 正答:5
】
解説
- × 幻覚は、実際には存在しない人や物が見える幻視と、実際には聞こえていない音や声が聞こえる幻聴が特徴である。
- × 抑うつは、憂うつな気分や行動・思考の低下が認められる。
- × 見当識障害とは、以前に得た知識が認知できなくなり、時間や空間・場所・人などを把握することができないことをいう。
- × 失認は、感覚機能には障害がないものの、対象を認知できない状態をいう。
- 〇 「財布がなくなった、誰かに盗られた」という訴えは、妄想の症状である。