宅建過去問

平成30年 第5問

問題

第5問
Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。
  2. Aは、Bからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をBに報告しなければならない。
  3. Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。
  4. AによるB宅の屋根の修理が、Bの意思に反することなく行われた場合、AはBに対し、Aが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。

答え 閉じる 

正解は、 3 です。

解説

Aは、義務なく隣人Bのために、B宅の屋根の修理という事務の管理を始めたものであり、いわゆる事務管理に該当する。
  1. 事務管理における管理者(A)には、本人(B)に対する報酬請求権はない。
  2. 事務管理における管理者は、本人の請求があるときは、いつでも事務処理の状況を報告しなければならない。
  3. 台風の接近により、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Aは、「財産に対する急迫の損害を免れさせるため」 に事務管理を行ったものである。この Aの事務管理はいわゆる緊急事務管理に該当し、注意義務が軽減されることとなる。すなわち、管理者に悪意又は重大な過失がなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。よって、Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理する必要はない。
  4. 事務管理における管理者は、本人の意思に反することなく事務管理をした場合であって、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、 その全額の償還を請求することができる。