宅建過去問

平成26年 第34問

問題

第34問
宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(共に消費税課税事業者)が受け取る報酬に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア. Aが居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額を請求できる。

イ. Aは売主から代理の依頼を受け、Bは買主から媒介の依頼を受けて、代金4,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から272万1,600円、Bは買主から136万800円の報酬をそれぞれ受けることができる。

ウ. Aは貸主から、Bは借主から、それぞれ媒介の依頼を受けて、共同して居住用建物の賃貸借契約を成立させた場合、貸主及び借主の承諾を得ていれば、Aは貸主から、Bは借主からそれぞれ借賃の1.08か月分の報酬を受けることができる。

  1. 一つ  
  2. 二つ  
  3. 三つ  
  4. なし

答え 閉じる 

正解は、 4 です。

解説

ア. × 依頼者からの依頼に基づいて行った広告であれば、広告に要した費用を報酬とは別に依頼者に請求できる。しかし、本肢の場合には依頼者からの依頼はないのだから、宅建業者Aは広告に要した費用を自ら負担しなければならない。

イ. × 本肢の場合の宅建業者が媒介を行った場合に一方から受けることができる報酬の額は以下の式で求める。
4000万円×0.03+6万円=126万円(税抜き)
126万円×1.08=136万800円(税込み)
Aは売主から代理の依頼を受けているから、この額の2倍の額が限度となる。ただし、複数の宅建業者が売主と買主それぞれに関与した場合には、関与した宅建業者全員が受ける報酬の合計額の限度も、媒介をした場合に一方から受けることができる報酬の額の2倍までであり、総額で272万1600円が限度となる。したがって、本肢の場合にはAとBの報酬を合算すると408万2400円となってしまい報酬の額の制限に違反している。

ウ. × 借賃の額を基準として報酬額を計算する場合には、原則は、貸主から受ける報酬と借主から受ける報酬の合計で借賃の1か月分が限度となる。そしてこの合計1か月分の限度内であれば自由に定めることができる。しかし、居住用建物の賃貸借の場合には、媒介の依頼を受ける際に依頼者の承諾を得ていた時を除き、依頼者の一方からは半月分しか受けることができない。本肢の場合には媒介の依頼を受ける際に依頼者の承諾を得ているが、この場合でも貸主から受ける報酬額と、借主から受ける報酬額の合計で借賃の1か月分が限度である。本肢の記述あるように、A、Bそれぞれが借賃の1.08か月分を受領すると、合計で2か月分の借賃を受けることになり、報酬額の制限に違反する。