宅建過去問

平成27年 第5問

問題

第5問
占有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  1. 甲建物の所有者Aが、甲建物の隣家に居住し、甲建物の裏口を常に監視して第三者の侵入を制止していたとしても、甲建物に錠をかけてその鍵を所持しない限り、Aが甲建物を占有しているとは言えない。
  2. 乙土地の所有者の相続人Bが、乙土地上の建物に居住しているCに対して乙土地の明渡しを求めた場合、Cは占有者が占有物について行使する権利は適法であるとの推定規定を根拠として、明渡しを拒否することができる。
  3. 丙土地の占有を代理しているDは、丙土地の占有が第三者に妨害された場合には、第三者に対して占有保持の訴えを提起することができる。
  4. 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者及びその特定承継人に対して当然に提起することができる。

答え 閉じる 

正解は、 3 です。

解説

  1. × 占有者は、自己のためにする意思をもって物を所有することによって取得する。家屋に錠をかけてその鍵を所持するとか、表札や貼紙などで現に占有することが第三者にもわかるようにしておくなどの方法を講じなかったとしても、必ずしも所持なしとはいえない。家屋の所有者が、その家屋の隣家に居住し、常に出入り口を監視して容易に他人の侵入を制止できる状況にある時は、所有者はその家屋を所持するものといえる。
  2. × 所有者からの土地明渡請求に対して、占有者がこれを賃借したと主張する場合、占有者の賃借権の主張については、占有者に立証責任があることは明らかであり、占有者は、占有物に行使する権利の適法の推定を定めた民法の規定を採用して自己の賃借権を所有者に対抗することはできない。
  3. 〇 占有代理人であるDは占有者であり、占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
  4. × 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その特定承継人が侵奪の事実を知っていた時は、この限りでない。特定承継人に対しては当然に提起できるわけではない。