宅建過去問

平成30年 第27問

問題

第27問
宅地建物取引業者A (消費税課税事業者)は、Bが所有する建物について、B及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とし、1か月分の借賃を10万円(消費税等相当額を含まない。)、CからBに支払われる権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものであり、消費税等相当額を含まない。)を150万円とする定期建物賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 建物が店舗用である場合、Aは、B及びCの承諾を得たときは、B及びCの双方からそれぞれ10万8,000円の報酬を受けることができる。
  2. 建物が居住用である場合、Aが受け取ることができる報酬の額は、CからBに支払われる権利金の額を売買に係る代金の額とみなして算出される16万2,000円が上限となる。
  3. 建物が店舖用である場合、Aは、Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。
  4. 定期建物賃貸借契約の契約期間が終了した直後にAが依頼を受けてBC間の定期建物賃貸借契約の再契約を成立させた場合、Aが受け取る報酬については、宅地建物取引業法の規定が適用される。

答え 閉じる 

正解は、 4 です。

解説

  1. B及びCの「双方からそれぞれ10万8,000円」(合計21 万6,000円)の報酬を受けることができるとなっている。
    居住用建物以外の建物の賃貸借において、権利金の授受があるときの媒介に関して宅建業者が依頼者から受ける報酬の額については、以下の①、 ②の2つの方法で計算した金額のうち、 高いほうの金額を報酬の限度額とすることができる。
    ①権利金の額を売買に係る代金の額とみなして、以下のとおリ、売買又は交換の場合の代理又は媒介の方法で計算した金額
    1. 物件価格200万円以下の場合
      →物件価格×5%(消費税課税事業者の場合はこれに×1.08)
    2. 物件価格200万円超400万円以下の場合
      →物件価格×4%+ 2万円(消費税課税事業者の場合はこれに×1.08)
    3. 物件価格400万円超の場合
      →物件価格×3%+ 6万円(消費税課税事業者の場合はこれに×1.08)
    ②当該建物の借賃の1か月分の1.08 倍に相当する金額
    ①の計算では、150万円 × 0.05 × 1.08 = 8万1,000円となるが、これは依頼者の一方から受領することができる金額の限度額である。したがって、 Aが、B及びCから受領できる限度額の合計は、8万1,000円 ×2= 16万2,000 円となる。
    ②によると、10万円×1.08 = 10万8,000円となるが、これは依頼者の双方から受領することができる金額の合計である。
    以上より、②より①のほうが高い金額となるから、Aが、B及びCから受領できる限度額の合計は、16万2,000円となる。
  2. 権利金の額を売買に係る代金の額とみなして報酬額の限度額を計算することができるのは、居住用建物「以外」 の建物の賃貸借の場合である。
  3. 宅建業者は、依頼者の依頼によらない広告費については、報酬とは別に受領することはできない。
  4. 定期建物賃貸借契約は、契約が更新されない賃貸借契約であるから、定期建物賃貸借契約の再契約とは、実際には新たな定期建物賃貸借契約を締結することになる。