宅建過去問

平成30年 第28問

問題

第28問
宅地建物取引業者A (消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬の上限額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 土地付中古住宅(代金500万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Bから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をBに対し説明した上で、AがBから受け取ることができる報酬の上限額は280,800円である。
  2. 土地付中古住宅(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが買主Cから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ4万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をCに対し説明した上で、AがCから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
  3. 土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
  4. 中古住宅(1か月分の借賃15万円。消費税等相当顏を含まない。)の貸借について、Aが貸主Eから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の貸借の媒介に比べ3万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をEに対し説明した上で、AがEから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。

答え 閉じる 

正解は、 3 です。

解説

平成29年12月8日に改正された報酬告示(平成30年1月1日施行) により、低廉な空家等の売買又は交換の媒介・代理における報酬額について、 特例が設けられた。 この特例は、低廉な空家等の売買の媒介については、通常の計算方法で求めた報酬額に加えて、現地調査等に要する費用を報酬として受領することができるとするものであり、ここでいう「低廉な空家等」とは、売買代金400万円以下(消費税別)の宅地又は建物のことをいい、この特例が適用されるのは、 「売主」から受領する報酬に限られる。 また、費用の額について、あらかじめ売主に説明する必要があり、特例が適用された場合の報酬の上限額は、18万円(消費税課税事業者は19万4,400円) となる。
  1. 売買代金が500万円であるから、「低廉な空家等」には当たらず、上記の報酬額の特例は適用されない。したがって、従来の報酬の上限額の計算方法によることとなる。物件価格400万円超の場合の計算式は、物件価格×3%+ 6万円なので、500万円×3%+ 6万円=21万円であり、A は消費税課税事業者だから、21万円× 1.08 = 22万6,800円が、Bから受け取ることができる報酬の上限額となる。
  2. 売買代金が300万円であるから、選択肢1の解説で述べた 「低廉な空家等」に該当する。しかし、 低廉な空き家の売買の媒介について、 報酬額の特例が適用されるのは、空家等の「売主」である依頼者から受けることのできる報酬に限られる。Cは買主であるから、Cから受け取る報酬に関しては上記の報酬額の特例の適用はなく、従来の報酬の上限額の計算方法によることとなる。物件価格 200万円超400万円以下の場合の計算式は、物件価格×4%十2万円なので、 300万円×4%+ 2万円=14万円であり、Aは消費税課税事業者だから、14 万円×1.08 = 15万1,200円が、Cから受け取ることができる報酬の上限額となる。
  3. 売買代金が350万円であり、Dは売主であるから、Aは、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税別)多く要する旨をDに対して説明することで、Dから受けることのできる報酬について、低廉な空家等に関する報酬額の特例が適用される。AがDから受け取ることのできる報酬の上限額は、350万円×4% +2万円=16万円、これに現地調査等の費用についての2万円を加えて18万円、Aは消費税課税事業者であるから 18万円×1.08=19万4,400円となる。 この金額は、特例による報酬の上限額(19万4,400 円)を超えないから、AがDから受け取ることのできる報酬の上限額は、19 万4,400円である。
  4. 「貸借」の場合にはこの特例は適用されず、従来の報酬の上限額の計算方法によることとなる。貸借の場合の計算方法は、1か月分の借賃× 1.08であるから、15万円×1.08 = 16 万2,000円が、AがEから受け取ることができる報酬の上限額となる。