サリドマイドに関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
  1. サリドマイド訴訟とは、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
  2. サリドマイドは、催眠鎮静成分として承認された。
  3. サリドマイドの血管新生を妨げる作用は、その光学異性体のうち、一方の異性体(S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体(R体)を分離して製剤化すると催奇形性を避けることができる。
  4. サリドマイド製剤による薬害事件は、日本でのみ発生しており、サリドマイド製剤による催奇形性が報告されて、すぐに販売停止及び回収措置が行われた。

    【 正答:4 】

    解説

    1. 選択肢の通り
    2. 選択肢の通り
    3. 血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体のうち、一方の異性体( S体)のみが有する作用であり、もう一方の異性体( R 体)にはなく、また、鎮静作用は R 体のみが有するとされている。サリドマイドが摂取されると、 R 体と S 体は体内で相互に転換するため、 R 体のサリドマイドを分離して製剤化しても催奇形性は避けられない。
    4. サリドマイド製剤は、1957年に西ドイツ(当時)で販売が開始され、我が国では1958年1月から販売されていた。1961年11月、西ドイツのレンツ博士がサリドマイド製剤の催奇形性について警告を発し、西ドイツでは製品が回収されるに至った。一方、我が国では、同年12月に西ドイツ企業から勧告が届いており、かつ翌年になってからもその企業から警告が発せられていたにもかかわらず、出荷停止は1962年5月まで行われず、販売停止及び回収措置は同年9月であるなど、対応の遅さが問題視された。